「あの日、ウイグル。」~電車で中国ほぼ横断編~
「硬座」
とはリクライニングなしのボックス席のことで、
一応座席指定はされるものの、誰かが先に座っていたり、
区間によっては明らかに席数以上の人が乗ってきて、夜行列車でも乗車率100%を超えたりすることもある。
空いている席は指定席の空間であっても座ってしまって構わないというのが中国人の認識らしく、自分の席に先客がいる場合が多々ある。そういう場合はそこどいてくれと普通に言えば普通にどいてくれる。
そして今回ももちろん自分の席には先客がいらっしゃった。車内はこの混み様であるし、席に座っていても逆に窮屈かなと思い、席は最初から放棄した。始発駅なのに自分の席に既に先客がいらっしゃるというのはどういうことなのか、座席の番号を見ずに座ってしまうのだろうか。
こういうの本当に中国っぽいなと思う。
他のアジアの国々とも少し違う、
雑なだけ、とも言えるが、自分には合理性の塊のように見える。
見た目はよくないけど、見た目が良い悪いというのは「合理性もしくは機能性<見た目」という文化の中での話であって、そこにいる全員が「合理性もしくは機能性>見た目」という文化なのであれば見た目というのは本当にどうでもいい。
上海の市中でゲットした雲南のクルミ。
クルミは雲南の名産らしく本当に美味しい。
味わいがミルクみたい。(本当)
駅弁。
今回分かったのが、上海の人たち味も香りもかなりタイ米に近い米を食べているということ。あと昆布を非常によく食べる。
本当に美味しい、、、ふと思い出して時計を見た。
四捨五入してもまだ8時間しか経っていない。
ウルムチまでは遠い。
自分の座席を放棄したということはすなわち床で寝るということ。
デッキ部分の床にいるが、暖房はここまで届かないし、駅に停車したらドア開くし、ドア閉まっていてもひんやりと寒い。
ちなみに他にも床で寝よる人はちらほらいる。彼らは何故であろうか。
寝つきが悪いのと眠りが浅いので腹が減る。
中国の醍醐味はこれ、日本ではまず味わえん、この豚まんのぎゅうぎゅう感。
今のうちに味わうべし。そう、むしろ今呑気に寝ている場合ではないのだ。
朝方、席が空いてきたので適当なところに座った。
この時点で自分の座席に座っている人は何人いるのだろうか。
向かいのおっちゃんたちと仲良くなった。
中国人と仲良くなるきっかけは毎回同じ。
中国語で話しかけられるので、「ごめん日本人なんよね、中国語難しいわ」って伝えると、
「日本人か?」
「日本人!」
「まーよく来たね。」
という一連の流れがあり、
自分が日本人と分かると、孫が遠くから会いに来てくれた時のじいちゃんばあちゃんの様な表情をしてくれる。
自分の少々の北京語力と、それに筆談も交えればそこそこ意思疎通はできるうえ、
中国人側も”顔が同じで漢字も同じなのにおしゃべりはできない、でも筆談で通じる”という状況が楽しいらしく、仲良くなった中国人は紙の上で皆饒舌である。
ウルムチまで料理の勉強に行くと伝えたらみんな驚いていた。
まあそりゃあそうやろうな、このおっちゃんたちも行ったことないらしいし。
日本のお金が見たいのというので差し出した。
だいたい他のアジアの国では「ちょうだい」と言われるし、
小銭なんでいつも気にせずあげていたが個のおっちゃんたちは違った。
「これは中国元でいくらだ?交換しよう!」
子どものように目をキラキラさせながら両替を申し出てきたので、
さっきちょっとおやつもらったし、気前よく(というほどの額じゃないけど)差し上げた。
しかし、交換しようと、そうきたか。
このおっちゃんたちは甘粛省で降りて行った。
時計を見ると18時半。
昨日寝不足なおかげで今日の昼間は座席に座って寝たり起きたり寝たり起きたり食べたりで、時間を気にせず過ごして今夕方である。
なんともう一晩寝たらウルムチについてしまい、そしたらこの電車旅も終了である。
意外と速い。
肉夹馍。
そんなに美味しいわけでもないのに、
なぜか定期的に食べないといられなくなるファーストフード。
挟む具材や味付けは様々でこれは軽い中国醤油で煮た鶏肉。
ウルムチまでいよいよ後5時間。
ただいま早朝6時。
人はもうまばらなのでみんな自由。
俺も自由にさせていただき、椅子の上だが足も伸ばせたし、
昨日に比べて本当に快適な夜だった。
そしてついにウルムチ南駅到着。
駅員さんの帽子カワイイ。
寒いわりに雪はそんなに多くはないみたい。
気温は今-15℃。
旭川に4年住んだ身とあってはこれならまだいける。
現在時刻午前10時。
41時間の鉄道の旅もこれにて幕。
ちなみに中国はこれだけ横にも長いのに標準時間は北京時間のみ。
距離的には時差2時間分以上移動している。
続く
Fucts in Blanks-パスタ対談ー
レシピ本の三作目「北インドの食卓」が12/6に発売されました!
今回は「ナウなインド料理」ということで、「インド人も別に一日三食毎日カレーばっかり食べているわけではないですからね。」ということがテーマの根本にあります。
都市部や観光地が中心、ということにはなりますが、現代インド人はインド料理だけでなく外国籍料理もたくさん楽しんでいます。
そういうと驚かれますが、現代日本人が一日三食毎日和食ばっかり食べてないのと全く同じことですね。
僕のインド料理の師匠(インド在住インド人)もパスタが好きだったみたいですし。
"Do you like pasta?"
"Yes, I like Pasta."
「ところではてさて美味しいパスタとは?」
レシピ本を書きながらふとそう思ったところが今回の記事のスタートであります。
"インド"ではパスタはこう茹でる、とか
日本人の好みは、とか
そういう話ではなく、イタリアを発祥とするこの麺料理は一体どうすることで美味しく食べられるようになるのか、という根本的なところです。
もちろん僕は知らないので、プロに聞いてみました。
今回ご登場いただくのは、
明ケ戸慎平氏(Bar U'Jadde青山オーナーシェフ・パスタ職人)
星野大志シェフ(仏・伊・印 トリプルメジャーのスペックお化け)
のお二方です。
ではトピック毎に三者の対談をお届けします。
毎度毎度そうなのですが、専門家に聞くと色んなことがわかって楽しいんですよね。
【茹で汁の塩】
パスタを茹でるときにお湯に入れる塩についてです。塩はお湯に対してどれくらいが適正なのか、使う塩はどんな塩が良いのか。
「これ、塩について書かれた本です。なかなか面白いですよ。」
「でもさ、塩して茹でた方が普通に麺だけ食べても美味しいよね。俺は結構入れる方だと思う。そして茹で時間は比較的長め。(日本人からすると)」
「なぜ塩を入れるのかっていうと【風味】ですよね。あと、俺はソースとの【繋ぎ】とも思ってますね。塩がないと絡み方が違うというか味が乗らないというか。
ちなみに塩を入れると沸点が上がるとか、早く茹だるとか、そういうことを言っている人がいますが、ここにある通り、そういった効果はほぼ期待できず、タイマーを押すタイミングとかそういった誤差で完全に相殺されます。」
「確かに塩は下味ですが、風味が増すっていう視点はなかったです。インド料理も中華料理もそもそも香りのあるものを下味として使いますから。
ちなみにお二人はパスタの茹で汁は塩分濃度何%程度ですか???」
「1%程度ですかね。」
「俺は1-1.2%くらいっすかね?昔は水の量と塩の量計ってやってました。ただ、薄い塩で茹でたパスタだとマジでうまくないっす。その足りない塩をソースに足しても同じ仕上がりには絶対ならないっすね。パスタにしっかり塩味がないとペペロンチーノもまったくうまくならないっす。」
「確かにソースに塩を足してもゴールは一緒にはならないですね。結局、パスタの芯まで塩味が行かないからでしょうね。」
「なんか1-3%みたいな話を聞いたことがあるんですが、3%だと濃いいっすか?」
「濃いですね。ほぼ海水ですからね。ただ○○さんなんかは3%らしいですが。でも基本は1%かと、そもそも3%も入れたら塩がもったいないレベル(笑)」
「確かにほぼ海水ですね。じゃあ3%は意味不明ですか?あと塩がもったいない以外の弊害ってありそうですか?」
「いや、意味不明とは言わないです。それに合わせた作り方はあるのかなあと。3%でやる方々は、パスタが茹で上がってソースに絡ませたらそこに塩を加えて味を調えたりせずに盛り付けます。つまり、3%だから出来上がったソースに合わせるだけで完成なのかと。
ただ僕の信ずるやり方ではないですが。」
「なるほど、合わせたら完成って逆に難しそうですね。」
「あと、僕は南イタリアベースなので、アンチョビとかをソースに多用するので、茹でる塩は少し抑え目でいたいですね。」
「なるほど、それもまた興味深いですね。でもそれって逆に言うと茹で汁の塩分濃度は1%もあれば十分っていうことでもありますよね。
日本米炊いて白米で食べるときは基本的には塩なんてしないのに、パスタは塩が必要ってなんか不思議ですね。」
「後は茹で汁をソースの差し水に使うやり方だと、塩分濃度が3%あると塩っ辛くなりがちですよね。」
「難しいとこですね。俺は茹で汁とブロードをその都度使い分けてますね。」
「ちなみに茹での塩はなに使ってますか?」
「SALE MARINO MOTHIA integrale GROSSOです。」
「ああ、その塩好きです。」
「グロッソ(粗め)を茹で汁に、フィーノ(細かめ)を料理用の塩にしてます。」
「生成塩とか岩塩みたいなナトリウム主体のやつって塩味が前面にでてきますよね。」
「角が立つんですよね。」
「粗目はパスタ湯用でよう見ますが、なぜ粗めなんですか?」
「料理に細かい塩を使う理由は大志さんから教えていただいたんですが。ゆうても僕カレーばっかりだったもので、結構粗い塩も普通に料理に使っていた時期もありまして。なじみやすさより得られる旨味を優先していましたね。」
「なぜパスタ湯で粗目なのかっていうのは、実は俺もよくわかってないです(笑)昔kらどこも岩塩だったので。おそらくは同じ量でも粗めの方が少ない量で塩味付くからかなあと。」
「なるほど。」
「ただこれは持論なので、突き詰めて考えたことはないです。」
「僕は焼き物にフレークソルト使っていた時期もあって、確かに粗い方が少ない量で味が付きそうですね。」
【茹でるときの温度】
茹でるときの温度というか温度感。
「同じ沸騰状態でもぐつぐつとかぽこぽことかいろいろあると思うのですが、どんな感じで茹でてますか?
「必ず沸騰状態。ただし、ぐつぐつ泡が出ているのはだめ。軽く泡が出てる状態をキープします。ぐつぐつ過ぎるとパスタの表面上の凹凸がとれてしまいソースと絡まなくなるんです。」
「パスタの凹凸がとれる!?」
「俺もポコポコくらいになるように茹でてます。」
「いやー、マジで勉強になります。」
「少しいいパスタなら触ればわかるくらい凹凸ありますよ。」
「あ、そういえば大志さんのところのパスタも少しざらざらしたやつがありましたね。」
「それです。」
「特にディチェコのいいやつはやばいっすよ。」
「なるほど。触ってみたいですね。」
「俺はディチェコ派、バリラはそんなに好きじゃないっす。ちなみにうちはテフロンタイプとブロンズタイプ両方ありますよ。」
「ディチェコとバリラが二大巨頭なんでしょうか。テフロンとかブロンズって何ですか?」
「テフロンがつるつるのやつっす。舌触りはいいけどソースが絡みづらい感じです。ざらざらのがブロンズタイプって言ってソースが絡みやすいんですよね。」
「なるほど!!そんなことすら知りませんでした!!!!!その辺って手打ちパスタだとどうなっていますか???」
「手打ちパスタは表面の凹凸は基本無いと考えていいですね。ただし、絞り出し系の生パスタはかなり凹凸あります。ビゴリの凹凸は最強。ちなみに俺はバリラ派ですが、ディチェコは5種類くらい使い分けてます。」
「ビゴリ、、、知らん言葉がいっぱい出てきますね。。。」
「ちなみにバリラとディチェコは大手なだけで数え切れないほどパスタのメーカーあります!」
「パスタによって舌触りとソースの絡み方に差があるんですね。やばいっすね。」
「クルヴィータも大手ですな。ここのブカティーニが好きです。」
「コラヴィータでした(笑)」
「そして手打ちパスタは表面の凹凸無しと。。。作り手の裁量次第で無限の可能性が生まれる世界、たまりませんなあ。カレー作りより余程奥深いです。」
「コラヴィータいいよね!ブカティーニは食べたことないけど、スパは結構好き。俺からしたらカレーもかなり奥深いけどねwおかげでずぶずぶはまってますけどw」
「復活の呪文(笑)ブカティーニが一般のより細目で絡みやすいんですよ。」
「あ、ブカティーニ思い出しました、あれですよね。穴あき。」
「ですです。アマトリチャーナやシチリアのイワシとフェンネルのパスタと言えばブカティーニ。」
「面白すぎです。インド料理は主食とおかずは足し算の関係であることがほとんどなのに。」
「ソースを絡ませるのか、乗せるのか、で使い分けですよね。」
「パスタは掛け算にならんとダメっていう感じですね。イタリア人の食への貪欲さがうかがい知れます。」
「正解ってないですけどね。」
「まあそれを言えばカレーもそうですが。」
【アルデンテ】
日本ではアルデンテが良しとされるパスタ。しかし本場では…???
「日本人の話だけ聞いても、
アルデンテが好きなのは日本人だけ、とか、
現地で修行して来た知り合いが出したイタリアン食べに行ったけどすげえアルデンテでむしろ固かったわ、とか、
割りと話がまとまりないんですよねw
そこら辺どうですか?」
「日本人は無駄にこだわり過ぎですね。僕はイタリアで芯を残して(いわゆるアルデンテ)出したらクレーム来たこともありましたね。
そもそも昔はスパゲッティを10分以上くたくたに茹でて壁に投げつけて、壁にペタッと張り付くまで茹でていた、って言われてますし。
でも僕らの商売相手は日本人なのでアルデンテは気にしますが。」
「俺もアルデンテあんまり好きじゃないっす。パスタにある程度の食感は合ってもいいと思うけど過剰に硬い(芯のある)のはよくないと思う。」
「僕もヨーロッパ周ったときにイタリア人、フランス人、ドイツ人の友達んち行ったらパスタ作ってくれたんですけど、アルデンテじゃなかったですね。ヴェネツィアで食べた大衆食堂のナポリタンみたいなパスタもソフト麺化してましたしw
アルデンテでクレームですかw」
「でも僕は基本アルデンテより緩めですね。特に少し酔っている方、疲れてる方、お子様連れには気持ちやわらかめに作ります。なので、基本ランチはアルデンテ、夜はゆるめです。」
「おお、気遣い!
でもアルデンテってイタリア語ですよね???
現地では特に重要視されてもいないのに名称だけはあるんですか???
あとCottura 8 minutiみたいなイタリア製のイタリア語表記の茹で時間はアルデンテになりますか???それとも普通ですか???」
「アルデンテ
al dente
al 前置詞で~味とか~風とか
denteは歯
なので、要は歯ごたえですね。パスタ以外にも使いますよ。
例えば煮込みで歯ごたえを残すか、無くすかとか。
表記通りの茹で時間だとアルデンテにはならないですね。」
「そうなんですね!煮込みにも!
肉の焼き加減でレアとかどうとかみたいに、パスタ茹でにおいての専門用語化と勝手に思ってましたw
アルデンテにならないっていうのは時間通り茹でるとアルデンテ通り越すってことですか?」
「例えばですが、砂肝
砂肝焼くとしゃりしゃりするじゃないですか?
あれを煮込みにしたときにそのしゃりしゃり感を残すか、なくすか。
軽く残すならun'po di al dente(少しの歯ごたえ)とか伝えますね。
あと表記時間通りの茹でならアルデンテ越しますね。
だから大体のレシピって表記より1-2分早めにあげましょう、って書いてありますね。でも胃に悪いですよw
まあでもバリカタな文化ですからね、日本は。」
「だよね~だから全然話違うかもだけどラーメン食べるときもバリカタしないで普通かやわにしてもらう!食感ほしいならモリーカみたいなカリカリパン粉とかの方が絶対にいいと思う!」
「博多ラーメンはバリカタですよ!!!!!!w
でもバリカタなんて食べるのも西日本と九州だけじゃないですか???そばとうどんはちゃんと芯まで茹でますけど。
アルデンテの話も1-2分早くあげましょうってレシピに書くのは日本人ですか???」
「ですです。」
「なるほど。
ちなみに、unpo di al denteのようなやり取りがあるっていうことは、歯ごたえに関してはイタリア人結構うるさいんですか?
日本では料理作るとき、食感に言及することって少ないと思うんですよね。割烹とかは知りませんが。
でも、煮崩さないとかはあっても、食感そのものを指定することってあんまりないと思うんです。」
「いえ、イタリア人気にしてないですねw」
「w
イタリア人!!」
「とりあえずくたくたにしますね。
でもそれがうまい。色より味ですね。
日本は味より色ですが。」
「インドも煮込み、炒め物はくたくた派です。パンや揚げ物はクリスピーですが。
パンと揚げ物のクリスピーにはうるさいですよ。チャパティ以外。」
「商売相手がだれかって話でもありますがね。
でも日本人ってアルデンテは好きですが、手打ちパスタや生パスタも好きでそっちの方が価値が高いじゃないですかw
どっちなんですかね?w」
「確かに!!!!!!!」
「分かる!」
「日本でよくあるダブルスタンダードですね!w」
「乾麺には乾麺の良さ。手打ちパスタには手打ちパスタの良さがあって、それぞれにあったソースがあるということが理解してもらえたら嬉しいですね。」
「どっちがいいとか決めたがっても、損しちゃいますね。」
「ですです。」
「俺はいわゆる生パスタって言われるやつのもっちり感が好きじゃなかったんだけど、そこで出会ったのが開化楼のトンナレッリなんですよー!」
「なるほど。俺はどちらも好きですけどね。
でも乾麺のリスペクトは半端ないです。乾麺あっての生パスタだと思ってますね。」
「俺も乾麺大好きや!」
「乾麺あっての生パスタっていい発想ですね。
でもパスタがまず乾麺ありきとして、それは保存のために乾燥させたってことなんですか?
順番的にはまず生があってそれをわざわざ乾燥させてまた茹でるってことですもんね?」
「ですです。
ちなみにですが、パスタ=食事で使う麺というのも実は間違いです。
クッキーやタルトもパスタなんです。
小麦を使って固めたものは全部パスタなんですよね。向こうでパスティッチェリアと言えばケーキ屋ですし。」
「えええええ!!??
と思いましたが、中国では餃子もワンタンも麺料理ですから、似たような発想でしょうか。」
「そうでしょうね。」
「インドでは麺がそもそも少ない&米粉麺があったりするので、他の主食やお菓子とは分けて考えられてますが。
ではキッシュはどう分類されますか?」
「キッシュはフランスですが、イタリアでいうならパスタですよ。
ああいう生地をパスタフローラっていうんですよ。だからパンもパスタの一種ですよね、イタリアンからすると。
だからパスタソースをパンで食べるのはスパゲッティに絡めて食べるのと一緒。」
「あ、パンってパスタと同列なんですねw
あと、アルデンテだとパスタがソースの水気を吸ってしまいぽてっとなってしまう、みたいなのってありますか?
特にペペロンチーノはじめ、オイル系はそのあたり結構大変そうですが。
自分で2人前とか作るとすぐ水気が不足します。それをアルデンテでやった日にはお客さんのところに届くころには油しか残ってないパスタになってそうですな、と今改めて思いました。」
「そこは技術ですよね。僕はそもそも乳化を信じ切っていないので、基本しゃばめに作ります。お酒を飲みながらのお店ですし、うち。」
「乳化を信じ切っていない、というのはまたどういう意味ですか???
乳化させましょうってオイル系のパスタのレシピには書いてあること多いと思いますが、それも乳化神話ですか?
乳化したと信じ切っているだけ、とか別に一瞬で分離するし最初だけ乳化させる意味とかないし、とかそんな感じでしょうか?」
「出来上がりの瞬間に乳化をさせても意味がないってことです。
テーブルに届く時には時間が経ちますし、喋ってたらどんどん分離します。つまり出来上がりに乳化させるのが正義ではないのかなあと。」
「なるほど、ではそれをどうにかすることってできるんですかねー???
もしくは分離しても美味しいバランスを探すとか、ですか?」
「そこは僕の美学っすね。時間が経ってから完成する、的な。
乳化が完璧でなくても美味しく、、、うまく文章にはできないですけど。。。」
「俺も乳化させた方が美味しいものもあると思うけど、自分が味見するときに完璧でも盛り付けてお客様のところに届くまでにもパスタは水分を吸っていくからだいぶ状態は変わるよね。賄いでかなりしゃばめに作っても食べ終わりは油の方が多かったりするんだから。
寿司みたいに目の前で作って渡されてすぐに食べきれる量なら完璧なパスタとして出せるかもしれないけど。」
「ですね。出来上がりに完璧を求めるのは店としてパスタを提供するにはNGですね。できてすぐ自分で食べるなら別ですが。」
「俺は宴会とかもやってたから、その時は特に、冷めても美味しく食べられる味付けや仕上がりをよく考えてたなあ。食品サンプルのパスタみたいに全部くっついちゃうような事のないようにするにはどうしたらいいかとか。」
「わかる。」
「うちの実家では昼にスパゲッティ・アッラ・ポモドーロを多めに作って、残った分を夜のコントルノにしたりしてた!それはそれでうまいしね!」
「グラタンにしても美味いっすね。ってか、オシャレな家庭w」
「今考えるとオシャレな家庭だなw
あ、シチリア料理でインボルティーニ・ディ・メランザーネってナスにポモドーロパスタ包んでグラタンみたいにして焼く料理あるんだけどおいしそうだった!」
「ああ、めっちゃ家庭料理ですけどうまいっすね。」
「しかし、出来上がりに完璧を求めるのはNGっていうのは全然考えたことなかったです。インドは作り置きも多いですし、そんなもんだとw」
御二方!
パスタ談義どうもありがとうございました!!!
続・500円カレーの限界への挑戦@渋谷basement cafe
というわけで、
渋谷500円カレーランチのこだわりを挙げ連ねます!
<こだわり①全部手作り・化学調味料不使用>
玉ねぎも、にんにく、生姜、グリーンチリも全部手で切って作ります。
市販の加工品は一切使いません。
感じる味、旨味は全て素材からのものです。
セットで付いてくる豆と野菜のカレーに使う野菜は、旬で食べ頃のものを八百屋さんから買ってきます。
いくら安くても美味しくなさそうな野菜は使いません。旬で美味しくて栄養価の高いものを選んでいます。
500円という価格は地域内ではかなり安い方です。でもその値段設定は安っぽいものを出しているから、ではなく、毎日でも健康的なものを食べてもらいたいからという気持ちを込めています。
スパイスも一から配合します。
日本ではスパイスを混ぜて置いておいて熟成させることを有り難がることがありますが、インドでは作るときにその都度混ぜるのが有り難がられます。そうする方がスパイスひとつひとつの香りが立ってインドカレーとしては美味しいのです。
<こだわり②皿>
食べ手にとって、お皿は大事です。
同じ料理でもお皿が違えば気分も違ってきます。
さすがに500円でメニュー5種類(今2種類w)とか、たくさん選べるようにするのはすぐには難しいのでw(いや、永遠に無理かも)せめてお皿だけでも。。。
後は500円だからこそ、「それなりだよね-」と感じさせたくないので!
<こだわり③ポーク、海老、ホタテ、つみれなど500円で選べなさそうな食材も500円で提供する>
食材によって値段が違うのは普通のことなんでしょうが、「あー、500安いから来てみたけど、やっぱり500円はチキンだけで、ポークは600円だよね。じゃあチキンで。」というふうにしたくないので一律500円でやります。
それで何回でも来ていただいて、日替わり制覇でもしていただければ嬉しいです。
<こだわり④でも利益はきっちり出す>
薄利多売という商売のやり方があります。でも僕は多売は好きですが薄利なのは嫌いです。
また、僕が他の仕事で渋谷に行けないときは、他の人にカレーの調理と販売をお願いすることもあります。
それで「500円で売ってて安いから利益ほとんどないんです。だから時給安いんですけど、うちでちょっと仕事手伝ってもらえませんか?」
って言われたら僕なら即断りますので、手伝ってくださる方にはしっかりお支払できるように、500円ですが利益はしっかり出る仕組みにしています。
かかる費用とかけるべき費用を分解して徹底的に計算し直し、ヒトとモノのネットワークを駆使して、恐ろしい利益率を実現しました。
ところでですが利益が出ればスタッフ、お店に還元できるのはもちろんですが、むしろ一番大事なのはお客さんへの還元です。
逆に利益がでなければ、自分を含め、どなたにもいい思いをしてもらえなくなります。
利益を出すのは、関わる皆様全員にとって最も大事なことです。
なので、
「500円って安すぎじゃない?利益ちゃんと出てる?」ってたまに心配していただけることさえあるのですがご安心を!!!!
500円でもばっちり利益出ますので皆様どんどん食べに来てください!
<こだわり⑤仕込みに時間はかけない>
渋谷の料理はインドのリアルな家庭料理です。
家庭料理なので短時間でさくっと作れる、というのもありますが、
最大で3種類のカレー50人分を楽々90分で作れるように、鍋、火口などのインフラ、レシピを徹底的に効率化し、
かつ時間短縮のために味を犠牲にすることがないようにも配慮しています。
いくら500円で利益が出るからと言っても、
毎朝8時から仕込んでます、っていうんじゃあ続けられませんから。
それでは人にお願いすることもできませんし。
それに作り手が健康的じゃないと美味しいものは作れません。
500円だからこそ、お客さんが値段以上に美味しいと感じられるものを出し続けるためには、仕込みの時間を短くする必要があります。
「すごく美味しい店だったけど、3ヶ月で終わった、
500円で食べれてよかったのに~残念!」
とかそういう話になってはそれこそお客さんに失礼ですし、
商売としても本末転倒です。
というわけで渋谷のこだわり挙げ連ねました!
しばらく渋谷の皆様の胃袋を支えるため頑張ります~!
500円カレーの限界への挑戦@渋谷basement cafe
実は10/2より、
渋谷神泉のco-working space Basement Cafeさんにて、
平日11:30-14:00で500円カレーランチの提供を行っておりました!!
Basement Cafeさんの詳しい情報はこちらから↓
渋谷で新しい「カフェスタイル」なら basement cafe & コワーキングスペースカフェ
カレーランチと言いつつ、
しれっと北インドおうちカレーを提供していますw
カレーは2種盛りでの提供です。
チキンと日替わりをどちらか選んでいただき、
それに豆と野菜のカレーが付きます。
日替わりのラインナップもポーク(下)、つくね(右上)、エビとホタテ(左上)、キーマ!
といった具合にすでに充実しております。
あ、ちなみにどれでも500円です。
店内はゆったり広々でおしゃれです。
この価格でこのゆったりは他に無いはずw
次回はこの500円カレーのこだわりを挙げ連ねます。
乞うご期待!
ダサイン-ドゥルガ・プジャ@ダルバート大塚
9/30 ダルバートさん@大塚にて
ダサイン-ドゥルガ・プジャお祝いスペシャルプレートをお出ししました!
大塚駅前から徒歩3分くらい
お店の窓からちんちん電車(広島なもんで)が見れます。
電車好きにはたまりません。
ダルバートさん@大塚の店舗情報
目印はスターキー補聴器殿です。
ダルバートが見つからなくてもスターキー補聴器殿は一瞬で見つけられます。
その上がダルバートさん。
下まで来たら看板もありますので。
いいとこ大塚、
是非一度いらっしゃいませ。
さて、9/30はダサインというネパールで一番盛り上がるお祭りのクライマックス、
つまり一年で一番盛り上がる日です。
このダサインはネパールだけじゃなくて東インドでも広く祝われ、
地域によって呼び名が違います。
ドゥルガ・プジャはコルカタ周辺の呼び方です。
超簡単に訳すとドゥルガ神のお祭りってことです。
今回ひょんなことから9/30にお祝いプレートやってもらいたいとお話しいただいたんですが、
僕はネパール料理はあまり詳しくないので、
コルカタスタイルでやらせていただきました。
当日のお祝いプレートです。
内容は、
<メティ・チキン Methi Murgh>
カスリメティとブラックペッパー、ヨーグルトのカレー
<じゃがいもとマトンのジョル Aloo Mangsho Jhol>
じゃがいもとマトンのスープカレー
リッチでクリーミーな豆カレー
<ニンジンのポシト Gajar Posto>
ポピーシードのペーストを使うサブジのようなおかず
<なすびのバジ Begun Bhaja>
なすびのスパイス揚げ
<魚のバジ Macher Bhaja>
魚のスパイス揚げ
<カボチャとメティのスパイシーヨーグルトカレー Doi Methi Kumro>
カボチャとメティのトマトとヨーグルトのリッチなカレー
<ライタ Raita>
ヨーグルトサラダ
<野菜プラオ Veg. Pulao>
シンプルな野菜の炊き込みご飯
<プーリ Puri>
揚げパン
<サブダナのキール Sabdhana Kheer>
タピオカのキール
全力でドゥルガ・プジャをお祝いさせていただきました。
これで1ドリンク付き1600円でしたので、ちょっとやり過ぎましたねw
ネパール人のお客さんに食べていただけたのは本当にいい体験になりましたね!
また来年もよろしくお願いします!
ハッピー・ダサインでした!
Facts in Blanksー「で、実際本当にヘルシーなんですか?北インドおうちカレーって。」
「久しぶりね、トム。」
「やあ!誰かと思ったらジェシーじゃないか。秋葉原Journey×Journeyでのタイフェス以来だね!
元気してたかい!?」
「相変わらずうるさいわね。一言挨拶しただけで十も二十も返してくるそのせわしい性格はいい加減直すべきよ。
ちなみに、私は見ての通り元気よ。」
「元気で良かったよ!僕も元気だよ!」
「聞いてないわ。興味ないし。」
「相変わらずの塩対応だね!しびれるよ!」
「もう、あなたに用はないから。行くわね。さよなら、永遠に。」
「ん?そんな分厚い本と書類の束をもって何をしているんだい、ジェシー?」
「ああこれ?実は最近面白いものを見つけたのよ。だからそれについてあれこれ調べてたの。
トムのクセに珍しいわね。あなたついこの間まで勉強努力なんて絶対しない人だったのに、今のあなたはこんな本に興味があるの?」
「ジェシー、それは違うよ。君にタイ料理を教えてもらってからというもの、僕は変わったんだ。
今は大好きなあの子に振り向いてもらうために、昼夜を問わずタイ料理の勉強も練習もしているよ。」
「動機が不純ね。汚いわ。」
「ところでその面白いものってなんだよ、ジェシー!Ah, ジェシー。僕は知りたいよ!」
「残念ながらこれはタイ料理の本じゃないわ。」
「そうなんだ!でもせっかくだから教えて欲しいよ、だめかい?」
「北インドおうちカレーよ。」
「え???」
「もう一回だけ言うわ。北インドおうちカレーよ!」
「ジェシー、僕のために2回も言ってくれる君はなんて優しいんだ。しかし北インドカレー、僕はそれを知っているよ。駅前に美味しいお店があるよね。僕はそれをチェック済みさ。何て言っても夏はカレーの季節、この夏はぁっ、スパイシーだったなあああああああ!!
ナンに、バターチキンカレーっ!!!!!」
「私は北インドカレーとは言ってないわ。私が言ったのは、北インドおうちカレーよ。
違い、分かっていただけたかしら???」
「北インド、、、お、おうち、、、 カレー....???
一体、一体それは!!!おうちカレーといったら僕は熟カ○ーだよ!!!!」
「それがあなたのおうちカレーよね。でもインド人にもあるのよ。おうちで食べるカレーが。」
「でもインド人って毎日カレーなんだろ???そしてその口ぶりから察すると、まさかバターチキンは北インドカレーだけども、北インドおうちカレーではないということかい?」
「毎日カレー、という表現はあながち間違ってないわ。けど本質を捉えた言い方ではないわね。」
「なるほど、でも確かに誰かがインドにはカレーもカレーライスも存在しない、って言ってたな。今思い出したよ。。。」
「え???。。。。でも一体どういうことだい!??インド人は毎日カレーを食べるのに、インドにはカレーもカレーライスも存在しないなんて!!!!!!!!!
僕が今までカレーと呼んでいたものたちは、一体なんだったんだ!
バターチキンカレーは、カレーなんだろ!???なのに!!!!カレーじゃないんだろ!!???」
「トム!!!落ち着いて!!!!
熟カ○ーはカレーよ!!!
でもバターチキンカレーは正式名称ではムルグ・マッカーニーなの!!!カレーと呼ばれているけど、っカレーじゃないのよっ!!!」
「むるぐ・まっかーにー...
分からんわ。」
「そうね。」
「いやいや、ちゃんと説明してくれよジェシー!
このままじゃあきっと気になって少なくとも今晩くらい眠れなくなりそうだよ。」
「分かったわ、仕方ないわね。ならあなたのために簡単に説明してあげるわ。
私が今持っているこの本は北インドおうちカレーについて書かれたものなの。
カレーっていってるけど、カレーって言う言葉は著者が便宜上使っているの。
インドの言葉にはもともとカレーに当たる言葉はない、と言われているわ。もちろん、カレーの語源になったのではないか、といわれている単語はあるし、インド人も今ではカレーという言葉は普通に使っている。
だからどれもカレー、なのだけど日本の煮物みたいに、煮物と一口で言っても佃煮、煮しめ、煮付け、煮っころがし、みたいに細かく名称が分かれる、それに近いわ。
ただ、カレーという言葉が余りにも便利なものでインド人も最近はカレーとしか呼ばれない料理もあると思う。特に外国人相手にはカレーとさえ言っておけば通じちゃうし、便利よね。」
「なるほど、カレーについては分かったよ。
しかしおうちカレーっていうのは一体なんなんだい?そんな言葉ははじめて聞いたよ。
どこのインド料理屋さんにも行ってもそんなメニューは見なかったよ。」
「まず有名なインド料理と言えばバターチキン、あれは北インドのレストラン料理なの。もともと家庭ではあまり出てこないわ。お金持ちのおうちでは違うと思うけど、一昔前なら一般家庭のおうちでは余り出てこなかったでしょうね。最近は変わってきてると思うけど。
でにつまり、インド人が常日頃食べている料理はもともともっと違うものなの。」
「なるほど、じゃあカレーって言う言葉は便宜上みんなが使うとしても、本質的にはインド人の食事はレストランの食事と家庭での食事は全く違うってことなのか!!!」
「トム、全くもってその通りよ。
でも全部の料理が違う、って言う訳じゃないの。
重なっている部分もあるわ。
でも例えば同じダル、豆カレーね、でもレストランのものと家庭のものでは違ってくるわ。厳密に何が違う、というのもなかなか難しいのだけど、まあ家庭には家庭の味、レストランにはレストランの味があるって思ってもらえればいいわ。
で、そういったことがレシピと一緒にこの本にはまとめられているのよ。
でもレストランと家庭では料理が全く違う、といってもインドはとてつもなく広いし、
地域、宗教、カースト、家族、個人、そしてその中で季節による差がある。
何もかもが厳密にこうだ、とはなかなか言い切れない世界よ。」
「なるほど、握り寿司は、寿司屋だけど。手巻き寿司はおうちでやるもんな。そんな感じか。」
「まあ、そうね。それでいいわ。あなたにとってはそれくらいの理解がせいぜいでしょうね。」
「でもジェシーが面白いって言うのは、レストランと家庭の料理の違いだけじゃないんだろ!??
その分厚い本まで全部レシピ本ってわけじゃないんだろ?」
「ちょっと、顔が近いわ。」
「ごめんよ、最近の僕の悪い癖なんだ。興味が湧くと前のめりになるんだ。」
「まあ、いいわ、許してあげる。
でもあなた、さすがに私のこと良く分かっているじゃない。
そうよ、私が面白いと思ったのはそこじゃないの\(゜ロ\)(/ロ゜)/!!!!!!!!!!!!!!!」
「え?ジェシー、急にどうしたんだい?キャラ違ってないかい???」
「あら、失礼。最近いろいろあったのよ。
そう、この本にはね、あくまで「美味しい」とか「ヘルシー」と言った言葉しか書いてないのよ。」
「なるほど。
つまりもしこれで、まあ美味しいだろうけど、実はそんなにヘルシーじゃなかったらどうしてくれるんだと、そういうことかい???」
「そうよ、だからそれを調べてもらったのよ。
管理栄養士さんに。」
続く