NeoCulture#Journal

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Neo Culture #Journal

ある文化がある異文化を受容するには、母体となる文化においての既成概念の破壊と伝統の再構築が必要となる。 Neo Cultureは、その過程を人為的かつ局所的に再現しようとする、一種の実験である。

<コンサルティング・ケーススタディ> Case.1-ビジネス街におけるランチタイムのお弁当の販売戦略

「ビジネス街におけるランチタイムのお弁当の販売戦略」

2016年4月より、都内のビジネス街にある飲食店で、ランチタイムのお弁当販売を強化するための取り組みを行ってきた。結果、2016年8月では同年4月の約5倍の個数が売れるようになった。その取り組みの過程をケーススタディとして以下にまとめる。なお、お弁当の販売価格など使用されている数字は実際のものではなく、取り扱いやすい数字に置き換えてある。

 

 

1.店舗のプロフィール

まず、飲食店のプロフィールを作成する。プロフィールには家賃などいくつかの固定費も含まれるべき(お弁当の販売価格は家賃などを考慮して決める必要があるため)であるが、今回は除外している。

 

<店舗のプロフィール>

立地;

都内ビジネス街にあり、最寄り駅より徒歩5分。ビジネス街は最寄り駅より歩10分の位置にあり、店舗は最寄り駅とビジネス街のちょうど中間にある。テナントの1階に入っているがメインストリートから一本内側に入った路地にあり、通勤帰宅時間にはビジネス街の従業員の行き来もあるが、まばらである。

 

お弁当の内容;カレーライス。(カレーとライスのみ。)

お弁当の販売価格;700円

1月~3月の1日のお弁当の販売個数の平均;5個

家賃;-

その他;店舗はオープンして一年未満。

 

 

2.課題と仮説

1.のプロフィールを参考に店舗の課題をシンプルに記述し、それぞれの課題についてその原因は何か仮説を立てる。(今回はお弁当販売に関しての取り組みのレポートであるのでプロフィールと課題の関係が分かりづらいが、お弁当販売を含め、飲食店経営全体としての”課題の発見”から行う場合はプロフィールの設定は必要不可欠である。)

<課題>

①1日のお弁当の販売個数が平均5個と少ない。

②お弁当のリピーターが少ない。

 

<仮説>

課題①に対する仮説;

A.周囲と比べお弁当の販売価格が高いからではないか。

B.当店のお弁当の販売価格が利用者の1日の予算を超えているからではないか。

C.お弁当の見た目にお得感が感じられないからではないか。

D.店舗の認知度が低いためお弁当販売を行っていることが知られていないからではないか。

 

課題②に対する仮説;

E.食べ終わった時に満足感が感じられないからではないか。(満腹感)

F.食べ終わった時に満足感が感じられないからではないか。(費用対効果)

 

 

3.仮説の検証ー結果と考察、対応策

前項の2.で考えた仮説を検証し、結果、考察およびそこから導かれる対応策を記述する。

<A.周囲と比べお弁当の販売価格が高いのではないか。>

当店は周囲と比べお弁当の販売価格が30-40%ほど高かった。当店は1つ700円であるが、周囲には500円から利用できるお弁当がある。

値段が高いというだけで、一概にそれが倦厭される理由になるとは限らないが、一般的にはお弁当利用者も1日の昼食で使える予算があり、それは個人のふところ事情だけでなく、周囲のお弁当の相場、つまりその地域での一般的なお弁当の販売価格にも影響される。(しかしその相場も、その地域にある企業が従業員に支払っている給与や、その地域の地価に影響を受けている。)

例えばある地域で平均的なお弁当の販売価格が500円であったとしたら、その地域の従業員は500円+コーヒー代で600円という予算を設定し、月々のやりくりをしようとするだろう。そのため周囲よりも高い値段でお弁当を販売するということは、利用者の予算を圧迫し、リピートの頻度の低下につながる可能性がある。つまり先の例で言うと500円のお弁当なら毎日利用できるわけであるが、それが700円のお弁当となれば給料日後やちょっと特別なときにということになる。(もちろん特別なときに選んでもらえるようなお弁当の内容でなければならない。)

よってテイクアウト派に日常的な利用をしてもらい、一定の販売個数を確保しつつ、目標の売上を達成するためには、この地域の相場に合わせるべくお弁当の販売価格の調整を行う必要があると思われる。

 

 

<B.当店のお弁当の販売価格がテイクアウト派の1日の予算を超えているのではないか。>

調査を行った結果、お弁当利用者1日のランチタイムの予算はコーヒーやお茶などの飲み物代を含め600-700円であることが分かった。当店のお弁当は1つ700円であるので、利用者によっては予算ギリギリ、もしくは予算オーバーとなっており、高頻度のリピートもしづらいことが考えられる。

よってお弁当本体は500円程度とし、高頻度のリピートを得つつ、100円のトッピングなどを販売することにより、追加料金を取りに行く料金体系が良いのではないかと思われる。

 

 

<C.お弁当の見た目にお得感が感じられないのではないか>

周囲ではおかずが2品以上付くお弁当がほとんどだった。具体的には500円でおかず2品

がつき、そこから100円増すごとにおかずが1品ずつ増える。それに含まれないものとして、八宝菜など丼スタイルのお弁当の販売もあり、それらは400円だった。

おかずの有無がお弁当の良し悪しに直結するとは一概に言えないが、今回のケースでは他店より販売価格が最大で300円高いが、当店は高い値段設定であるがおかずが付かないカレーライスであるということが利用者の心理にネガティブな印象を与えている可能性があった。

ただそれでカレーライスのスタイルで周囲の販売価格に合わせて値下げすればよいのかというと、それで販売個数が一時的に伸びたとしてもリピーターの獲得につながるともあまり思えなかった。新規利用者の獲得とリピーターの獲得は、取るべき方策が全く変わってくるからである。(値下げは、お試しという感覚で新規の利用者を呼び込みやすいが、その後リピートしてもらえるかどうかというのは、実際にお弁当を食べた後の満足感による。)

さらに単純な値下げは効果が出るのも早いが、その効果は一時的であることが多い。安い以外のメリットがないため飽きられたら終わりであるし、周囲のお弁当最安値が400円であり、それより安い状況を作り出すこともできないので、どっちつかずで利用者の記憶にもとどまりづらいと考えた。

かつ店舗の側から見ても原価のみが上昇するため、販売個数が伸びたところで薄利多売となり、その分多く売れても結局利益が以前と変わらないという事態にも陥りやすい。少ない人手で運営する個人店では日々のモチベーションの低下にもつながりかねない。そして値下げをして失敗しても、再度の値上げは難しい。慎重に、単純な値下げにならないような方策を考えなければならない。

そこで他店のお弁当との見た目上のギャップを無くすため、お弁当の容器をおかずも一緒に盛り込めるものに変更し、販売価格を500円とし、おかず付きのカレーライス弁当の販売を検討することとした。

 

 

<D.店舗の認知度が低いためお弁当販売を行っていることが知られていないのではないか。>

オープンして1年未満のお店のためは認知度は低いであろうと思われる。またお弁当利用者の顔ぶれが決まっていることや、お弁当の販売個数が3ヶ月間で動いていないことから、利用者の口コミはほとんどなかったものと思われる。

フェイスブックツイッターなどのSNSは性質上、今回のケースでは有効な販促ツールにはなり得ないと考え、確実に口コミのネタになるような仕組みの導入する必要がある。

そこで、2つ以上のお弁当をまとめて買うことによって割引を得られる「まとめ買割引き」を導入することとした。割引額も2個で1つに付き10円引き、最大5個で1つに付き50円の割引が得られる。これにより、テイクアウト派同士のお使いや、どうせみんなで買うならという理由でテイクアウト派がお互いに声を掛け合って当店のお弁当を利用する状況が作れると考え、口コミに近い効果が得られると考えた。また、手作り無添加という点も口コミのネタとなりうるため、その辺りの訴求も必要である。

 

 

<E.食べ終わった時に満足感が感じられないのではないか。(満腹感)>

当店における店内の利用者は全体の75%はライス普通盛り、20%がライス少なめで注文され、全体の5%が大盛りを注文される。大盛りを注文されるのは男性が多いが、少なめに関しては女性が多いとはいい難く、性差があるとはいいづらい。また現段階で普通盛りに関して提供量が少ないという声は出ていない。

お弁当のライスとカレーの提供料は店内の提供量に準じているため、お弁当利用者にとってもお弁当の絶対的な内容量が足りないとは考えづらかった。よってお弁当の内容量については変更の必要はないと考える。

 

 

<F.食べ終わった時に満足感が感じられないのではないか。(費用対効果)>

お弁当の内容量について変更は必要なさそうであるが、他店のお弁当と比べた時に、当店のお弁当はおかずがつかないという部分で利用者がなんとなく物足りなさを感じている可能性があった。そこで、お弁当におかずを付け、その量をご飯とカレーの量から調整し、利用者の満足度を得つつ、食材原価率が目標を上回らないようにバランスの調整をした。

 

 

4.結果

以上A-Fについての対応策を実施したところ、以下の結果が得られた。

 

①1日の平均販売個数の顕著な増加。平均5個→28個

②現在はお弁当利用者の8割をリピーターが占めるようになっている。

 

 

5.今後の課題

今後は現在の販売個数を維持しつつ、飽きられないようなカレーラインナップの工夫が必要である。さらにはそれによって、新規の利用者も呼び込め、お弁当の食材原価率も平均値を引き下げることができれば理想的である。