Neo Culture #Journal

Layered Little Press #Journal(旧Neo Culture)

小さすぎる出版社Layered Little Press(旧Neo Culture)

Facts in Blanks-北インドおうちカレー

ここから本題に入ります。

 

「では北インドおうちカレーとは果たしていったい何なのか」

 

ということです。

 

 

インドカレー、もしくは北インド料理というものはおそらく日本において、

 

ナン(パン)を主食にリッチなカレー(バターチキンなど)を食し、

それはしばしばタンドリーチキンに代表される焼き物を伴う。

 

そういうイメージを持たれている方が少なくないのではないか、

そう思います。

 

それらは食べごたえがあり、

もちろん美味しく、

ごちそう感があるものが多いです。

 

しかしながらその反面、

油(バター)、乳製品やスパイスをふんだんに使用するため、

毎日は食べられません。

 

これを脂っこい、胃もたれをする。

という人もいます。

 

 

では翻って南インドはというと、

あっさり

ヘルシー

野菜中心

米が主食

とはいえミールスはボリューミーでお腹はいっぱいになる

毎日食べられる

というのが一般的なイメージでしょうか。

 

 

同じ人間なのに、

同じインド人なのに、

なぜ南と北でこんなにも差があるのでしょうか。

 

結論から言うと、

その差は恣意的に作られたもので、

実際のところそんなに差はないです、おうちご飯は。

 

上の対比は実は、

北インドの料理

vs

南インドの料理

ではなく

 

北インド料理の中のレストラン・宮廷料理

Vs

南インドの庶民食

 

という構図です。

 

それはどういうことかというと、

関西のすき焼きと関東の味噌汁を比べて、

関西の食事は毎日食べられませんよね。

と言っているようなものです。

 

しかしながら先のこの例えには無理があるようにも聞こえますね。

 

味噌汁は関西にもあるよ、と突っ込まれそうです。

 

しかしそれはインドとて同じことでございます。

南で一般的に食べられているもので、

北にも同種もしくは類似のものが存在しているものはたくさんあります。

 

もちろん南独自のものもたくさんあります。

しかし、北独自のものもたくさんあります。

 

そしてこの食の分布は主食というテーマにも関連してきます。

南と北で同じようなおかずを食べるのなら、

北はパン食、

南は米食

というのは本当か。

 

南もパンで食事を済ませることはあります。しかし主体は米です。南インドには米から作られる加工品が多くあり、それらも主食同様の地位を持っています。

 

北も地域差はあれど、米が主体の食事をとる地域はたくさんありますし、パン食の地域でも小麦粉だけでなくとうもろこし粉のパンもあったりします。

 

実際自分でもそれなりの知り合いがインド人にいて、彼らの声を直に聞き、

それなりの箇所をインドで歩きまわり、彼らと寝食を共にし、

北インドがパン食、というのはちょっとどうでしょう、

と感じているところです。

だって毎日昼は絶対米だよって言っている人たち、

本当にたくさんいますので。

 

それでも主食は米なのかパンなのか、

この問いのこれ以上の議論は意味がないように感じます。

たしかに北の人たちの方がパンを食べる頻度は高そうですが。

 

とまあこれだけ言っておきながら、

実はそんな議論がしたいわけでもなくてです。

北インドには本当に美味しいホームスタイルと言われる、おうちご飯があるのです。

僕はそれをインド人から教えてもらうことができて、

せっかくなのでもっとみなさんにも知っていただきたいと思っています。

しかしそれらのおいしい食べ方として、

パンではなく米と食べることが推奨されている料理がたくさんあります。

というわけで冒頭の主食のお話でした。

 

なので本当にここから本題なのですが、

レシピ本発売、料理教室やその他準備しているイベントに先駆けて、

北インドのおうちカレーたちの一部と、

やはり重要なその食べ方を紹介させていただこうと思います。

 

きっとまだ日本ではほとんど知られてない料理でしょうと思いますので。

 

<チキンカレー>

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ターメリックとカイエンペッパーの2種類のパウダースパイスのみで作ります。クミンシードなどのホールスパイスも一切使いません。


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お米でどうぞなカレーです。

ターメリックとカイエンペッパーはインドカレーにおいての必須スパイスと言われ、それと骨から出る鶏の旨味だけでおいしいカレーが作れます。

僕がインド人から教わったカレーの中でも一番シンプルなものです。 

 

<ほうれん草ビーフカレー>
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イスラム教徒の家庭で食べられる素朴なほうれん草カレーです。

使われるほうれん草の量は人によって多い少ないがありますが、このざく切りほうれん草を使うのはおうちカレーの典型です。

スパイス使いもシンプルな場合が多く、優しい味わいです。

これは米か、クリスピーに焼いたロティを浸しながら食べるのもいいですね。

 

<ビーフマサラ>
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同じくイスラム教徒の家庭で食べられるカレーですが、こちらは汁気が少なくどろっとしています。

一緒にじゃがいもなどの野菜を使うのは東インドのスタイルです。

パンで食べたり、汁気のあるチキンカレーとライスに添える形で出てきたりもします。

レストランでも人気のマサラですが、スパイスの使用量は家庭ではずいぶん少なくなる傾向があります。

 

<皮つきウラド豆のジンジャーカレー>
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皮つきのウラド豆は煮るととろみがでるのですが、その豆ととろみと生姜の相性がばつぐんなカレーです。生姜がたっぷり使われているので、冬の寒さの冷えだけでなく、夏場の冷房の冷えに対しても、

体をしっかりと温めてくれます。

こちらは米でもパンでも。

 

<アル・パラック>

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こちらもざく切りのほうれん草を使う、家庭的なアル・パラックです。

汁気の多い、もっとカレーっぽい見た目のものもあるのですが、今回は汁気のないお総菜風のものを。

とても素朴でクセになります。

汁気のあるカレーと豆カレーよ米とチャパティとアル・パラック、この組み合わせは最高ですね。ある日の豪華なお昼御飯って感じです。

 

<ニハリ>
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羊の足を炊いたスープでこれも体を芯から暖めてくれます。北の冬が寒い地域のイスラム教徒の家庭で作られます。一年中わりと温暖な南インドイスラム教徒はほとんど食べないそうです。

これも米か、クリスピーに焼いたロティを浸しながら食べます。


<レンズ豆のジョル>

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東インドの豆カレーです。

高校生の時にバイトをしていたインド料理屋さんのまかないでかなりな頻繁にできていた、僕の想い出の味です。

ジョルとは米を食うためのカレーといっても過言ではありません。

 

ちなみに米はインド米でも日本米でも美味しく食べられます。日本に来ているインド人は日本米が大好きな人が多く、むしろ好んでカレーをかけて食べている人を僕はたくさん知っています。

 

まだ北インドおうちカレーは日本では食べられるお店が本当に少ないのですが、

 南インド料理と違ってタマリンドカレーリーフといった独特の食材は使わないので、

日本のご家庭でも簡単に再現が可能なのです。

 

さて、

Facts in Blanks、

次回は北インドおうちカレーがどれだけヘルシーなのか、突き止めましたので成果報告いたします!