「あの日、ウイグル。」~電車で中国ほぼ横断編~
「硬座」
とはリクライニングなしのボックス席のことで、
一応座席指定はされるものの、誰かが先に座っていたり、
区間によっては明らかに席数以上の人が乗ってきて、夜行列車でも乗車率100%を超えたりすることもある。
空いている席は指定席の空間であっても座ってしまって構わないというのが中国人の認識らしく、自分の席に先客がいる場合が多々ある。そういう場合はそこどいてくれと普通に言えば普通にどいてくれる。
そして今回ももちろん自分の席には先客がいらっしゃった。車内はこの混み様であるし、席に座っていても逆に窮屈かなと思い、席は最初から放棄した。始発駅なのに自分の席に既に先客がいらっしゃるというのはどういうことなのか、座席の番号を見ずに座ってしまうのだろうか。
こういうの本当に中国っぽいなと思う。
他のアジアの国々とも少し違う、
雑なだけ、とも言えるが、自分には合理性の塊のように見える。
見た目はよくないけど、見た目が良い悪いというのは「合理性もしくは機能性<見た目」という文化の中での話であって、そこにいる全員が「合理性もしくは機能性>見た目」という文化なのであれば見た目というのは本当にどうでもいい。
上海の市中でゲットした雲南のクルミ。
クルミは雲南の名産らしく本当に美味しい。
味わいがミルクみたい。(本当)
駅弁。
今回分かったのが、上海の人たち味も香りもかなりタイ米に近い米を食べているということ。あと昆布を非常によく食べる。
本当に美味しい、、、ふと思い出して時計を見た。
四捨五入してもまだ8時間しか経っていない。
ウルムチまでは遠い。
自分の座席を放棄したということはすなわち床で寝るということ。
デッキ部分の床にいるが、暖房はここまで届かないし、駅に停車したらドア開くし、ドア閉まっていてもひんやりと寒い。
ちなみに他にも床で寝よる人はちらほらいる。彼らは何故であろうか。
寝つきが悪いのと眠りが浅いので腹が減る。
中国の醍醐味はこれ、日本ではまず味わえん、この豚まんのぎゅうぎゅう感。
今のうちに味わうべし。そう、むしろ今呑気に寝ている場合ではないのだ。
朝方、席が空いてきたので適当なところに座った。
この時点で自分の座席に座っている人は何人いるのだろうか。
向かいのおっちゃんたちと仲良くなった。
中国人と仲良くなるきっかけは毎回同じ。
中国語で話しかけられるので、「ごめん日本人なんよね、中国語難しいわ」って伝えると、
「日本人か?」
「日本人!」
「まーよく来たね。」
という一連の流れがあり、
自分が日本人と分かると、孫が遠くから会いに来てくれた時のじいちゃんばあちゃんの様な表情をしてくれる。
自分の少々の北京語力と、それに筆談も交えればそこそこ意思疎通はできるうえ、
中国人側も”顔が同じで漢字も同じなのにおしゃべりはできない、でも筆談で通じる”という状況が楽しいらしく、仲良くなった中国人は紙の上で皆饒舌である。
ウルムチまで料理の勉強に行くと伝えたらみんな驚いていた。
まあそりゃあそうやろうな、このおっちゃんたちも行ったことないらしいし。
日本のお金が見たいのというので差し出した。
だいたい他のアジアの国では「ちょうだい」と言われるし、
小銭なんでいつも気にせずあげていたが個のおっちゃんたちは違った。
「これは中国元でいくらだ?交換しよう!」
子どものように目をキラキラさせながら両替を申し出てきたので、
さっきちょっとおやつもらったし、気前よく(というほどの額じゃないけど)差し上げた。
しかし、交換しようと、そうきたか。
このおっちゃんたちは甘粛省で降りて行った。
時計を見ると18時半。
昨日寝不足なおかげで今日の昼間は座席に座って寝たり起きたり寝たり起きたり食べたりで、時間を気にせず過ごして今夕方である。
なんともう一晩寝たらウルムチについてしまい、そしたらこの電車旅も終了である。
意外と速い。
肉夹馍。
そんなに美味しいわけでもないのに、
なぜか定期的に食べないといられなくなるファーストフード。
挟む具材や味付けは様々でこれは軽い中国醤油で煮た鶏肉。
ウルムチまでいよいよ後5時間。
ただいま早朝6時。
人はもうまばらなのでみんな自由。
俺も自由にさせていただき、椅子の上だが足も伸ばせたし、
昨日に比べて本当に快適な夜だった。
そしてついにウルムチ南駅到着。
駅員さんの帽子カワイイ。
寒いわりに雪はそんなに多くはないみたい。
気温は今-15℃。
旭川に4年住んだ身とあってはこれならまだいける。
現在時刻午前10時。
41時間の鉄道の旅もこれにて幕。
ちなみに中国はこれだけ横にも長いのに標準時間は北京時間のみ。
距離的には時差2時間分以上移動している。
続く