NeoCulture#Journal

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ある文化がある異文化を受容するには、母体となる文化においての既成概念の破壊と伝統の再構築が必要となる。 Neo Cultureは、その過程を人為的かつ局所的に再現しようとする、一種の実験である。

Facts in Blanksーカレー作りの必須スパイスというもの

単語というものは極論、

中は空っぽの箱のようなものであり、

それ自体に固定された意味はなく、

話し手が聞き手に伝えたいと思う概念の意味するところをその単語という箱の中に入れて初めて、

意味を持つ。

 

とある言語学者がそんなようなことを言っていた。

 

 

 

カレー作りに必要なスパイスは、

実はわずか2種類である。

ターメリックとカイエンペッパーパウダーの2種類で、ターメリックもパウダーなので、

この考え方においては、固形状のホールスパイスと言われるものはカレー作りに必須ではない。

 

また、この2種類にパプリカパウダーを加え3種類のパウダースパイスがカレー作りには必須であると言っている人もいる。

 

しかし、

パプリカもカイエンペッパーも広い意味で唐辛子系の植物の実の部分の乾燥粉末と思えば、辛味の度合いはとりあえず置いといて、

とりあえずターメリックと唐辛子系の植物の実の乾燥粉末の2種類のパウダースパイスがあれば

カレーが作れる、そう言うことになる。

 

 

しかしそういう話をすると、

「インドにはターメリックを使わないカレーもある」

という話が出てくる。

 

「だっていろんな本に書いてあるけど、

ターメリックって着色でしょ?」

次に言われることがこれ。

 

まず、ターメリックの働きに関していうと、

はっきりと味も香りもある。

それも結構強い。

着色の作用しかないというのは、間違いです。

これは持論でもなんでもなく、

実際にターメリックがそういうやつなので、誰が何をどう言ってもしょうがない。

揺るがない事実です。

でもこれに関しては本題ではないのでここまで。

 

 

本題は「ターメリックを使わないカレーとは何か」

である。

これに関しては明確な答えはない。

 

しかしひとつ言えることがある。

インド人は自らの料理に対してカレーという言葉を本来的に使っていない。

我々外国人がカレーという便利な言葉を使って

インド料理の再定義を行っているだけである。

それも勝手に。

 

インド人は自分達の料理をカレーとかカリーとか言ってるし、

インドの食堂やレストランのメニューにもカレーという言葉が使われている。

 

確かにそうですね。

でもほとんどの場合英語で、ですね。

昔から壁に直接書かれている現地語の中にカレー、もしくはカリーという単語はあるのでしょうか?

無いわけではない。

 

日本には醤油を使った料理が星の数ほど存在しますが、

名称はどうなっていますか?

佃煮、肉じゃが、土佐煮 etc

 

ではサブジはカレーですか?

バジはカレーですか?

マサラはカレーですか?

コルマは?

ラッサムは?

ジョールは?

 

上記のメニューの中では一部ターメリックを使わないバリエーションをもつ料理が存在します。

 

じゃあカレーじゃないですか?

それでもカレーですか?

カレーの中でもターメリックを使わない、

例外的な存在ですか?

 

言語学的アプローチによって考察すれば、

その議論自体には何の意味もなく、

そもそも本来的にカレーではないものを

内なる構造を全く無視しカレーという言葉を使って

勝手な再定義を行ったために、

その副作用としてこのような議論をする余地が生まれてきてしまったと、

そう考えることができます。